ドミニク・チェン「フリーカルチャーを作るためのガイドブック」

フリーカルチャーをつくるためのガイドブック  クリエイティブ・コモンズによる創造の循環

フリーカルチャーをつくるためのガイドブック クリエイティブ・コモンズによる創造の循環

出版されたと聞いてすぐに購入して少しずつ読み進めていたのですが、ようやく読み終わった。個人的にはクリエティブ・コモンズ等の動向は聞いていながらも、本質的なところまでは理解できていなかったので、本書を読んで改めて考えるきっかけとなり大変勉強になった。
本書の目的は以下のとおり。

本書の目的は、フリーカルチャーの起源と現在、そして未来について整理を行ない、私たち個々人が今後の文化の形成にどのように参加していけるかという道筋を明らかにすることです。そのために、フリーカルチャーが誕生した背景を解説し、その主要な活動のひとつであるクリエイティブ・コモンズの運動を紹介し、さらにはフリーカルチャーが内包する価値観について考察します。この歴史の参照を通して、法、技術、文化を含めた私たちの社会がいかに改変可能であるか、またどのように改変していけるかというヒントを、少しでも浮き彫りにできればと思います。(p.9)

様々な事例を通して、まさに法・技術・文化の点から現在の動向を整理すると共に、その位置づけを様々な概念でまとめ直しており、単なるクリエイティブ・コモンズの動向をしること以上に「ものをつくる」とはどういうことかということを考えさせられる。
個人的には、第6章「継承と学習から文化は生まれ直す〜新陳代謝する創造の系譜」が面白かった。エリク・エリクソンの「ジェネラビリティ(世代性、世代継承性)」、ジョナサン・ジットレインの「ジェネラティビティ(生成力)」という同じ言葉だが異なる概念をもとに、両者の共通性「結果を予測できない生成力」を抽出し、そこから「継承力」という訳語を提案するというところは、流石ドミニクさん!だなと。