今年の10冊

2010年、2011年と2年続けて書きそびれていましたが、久しぶりに今年読んだ本から知的好奇心を満たしてくれた本を5冊ほどあげておきます。

競争戦略としてのグローバルルール―世界市場で勝つ企業の秘訣

競争戦略としてのグローバルルール―世界市場で勝つ企業の秘訣

非常に平易な言葉で書かれているが、内容的には非常に重要なテーマを扱っており、個人的には色々と日本の将来を考えるにあたって大変参考になった。グローバル化とは何か、その中でどのようにして戦う必要があるのかという点を考えるためには本書に記載されているレベルで具体的に考え、実行していかなければならないと強く実感させられた。
ゾンビ襲来: 国際政治理論で、その日に備える

ゾンビ襲来: 国際政治理論で、その日に備える

今年は、米国のドラマ「ウォーキング・デッド」にはまったこともあり、その点からも本書はタイトルからして個人的にやられました。ゾンビを国際政治学的に分析するというユニークな研究テーマに多くの人が反応されていて、そのやりとり等をみるのも楽しかったですねー。
ロッキード・マーティン 巨大軍需企業の内幕

ロッキード・マーティン 巨大軍需企業の内幕

あるベテランジャーナリストはこう言っている。「もし私が、将来”ビッグ・ブラザー”になりそうなのは誰かと訊かれたら、私は迷わず”ロッキード・マーティンと答える”」

というフレーズにあるとおり、軍産複合体であるロッキード・マーティン社がどれほど米国の安全保障政策に深く関与しているのか、そしてロビー活動などの取り組みなどこれまで窺い知れなかった様々な事例などが生々しく書かれており、非常に面白い。ロッキード・マーティン社は2008年時点で、連邦政府から360億ドル受注し、うち290億ドルが国防総省がしめているが、それ以外にもエネルギー省、運輸省も全米で受注額1位、国務省は第2位、NASAは第3位、司法省と住宅都市開発省は第4位と、軍需以外の領域でもカバーしており、非常に広範囲にわたっており、その全貌が本書では描かれている。

マスタースイッチ

マスタースイッチ

上記ロッキード・マーティンもそうですが、米国には独占と規制の駆け引きが長年続いており、いかにしてそのバランスをとるのか試行錯誤しながら発展してきており、本書ではそれを具体的な事例をもとに丁寧にまとめられており、その様々な事例が大変おもしろかったです。どちらかといえば政策、制度的な本というよりもその事例集という形で読んだようがよいのかもしれませんが、それはそれで非常に私にとっては価値があった本です。この点では上記のロッキード・マーティンの本もどうようの位置づけですね。
最高裁回想録 --学者判事の七年半

最高裁回想録 --学者判事の七年半

政治家や学者などの回顧録者が好きな私としては毎年誰かしらの回顧録を一冊は入れたいと思うのですが、今年は藤田先生の最高裁回顧録が印象に残ってます。最高裁回顧録自体はこれまで何冊かでていたようですが、いずれも未読だったこともあり、初めて最高裁の業務内容やその生活を窺い知れることができました。また、学者としてどのように裁判に関わっていくのかという取り組み姿勢など藤田先生の思想も書かれており、藤田先生の人生の回顧録という観点でも色々と気付かされる指摘がある本です。

来年もまた新しいジャンル、新しい著者の本に出会えるのが楽しみです!

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「2005年今年の10冊ノンフィクション)(フィクション)」
2006年今年の10冊
2007年今年の10冊
2008年今年の10冊
2009年今年の5冊