今読んでいる本

アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない (Bunshun Paperbacks)

アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない (Bunshun Paperbacks)

町山本。エッセーのまとめ本で、コラムの花道で聞いたことある話もたくさん入っているものの、あらためて読むと本当にアメリカという国は凄い国だとあらためて考えさせられる。でもこの一時期アメリカに住んでいた身として、ここで書かれているようなことの実感はあまりなかったんだけどなぁ・・・。

アーキテクチャの生態系

アーキテクチャの生態系

本書はいたるところに著者の非常に細かい心配りがされていて、読んでいるこっちが恐縮してしまうほど。注・構成含め大変読みやすくかつ分かりやすい。
内容としては、語られる対象というよりもそれを語る際の切り口としての「アーキテクチャ」をどのように使うのかにあったのですが、第八章の締めの文章がその分析のコアなのでしょう。
自分も「アーキテクチャの方法論」には関心があるのですが、本書はその方法論をソーシャルウェアという事例を用いて分析したものとして大変参考になりました。
よく言われている内容ではありますが、本書の結論部に下記の指摘を書かれたというのが個人的には嬉しかったです。

また、本書を通じて明らかにしてきたのは、技術(アーキテクチャ)と社会(集合行動)が、密接に連動するかたちで変容していくプロセスでもありました。
(中略)
社会が技術を形作り、技術がまた社会をつくる。アーキテクチャと社会の間には、こうしたフィードバック・ループが複雑に絡み合って存在しています。つまり、「椅子を硬くすれば回転率が上がる」といった比較的単純なかたちでは、アーキテクチャの設計と効果に関する方法論を取り出すことはできないということでもあります。むしろ本書が明らかにしてきたのは、規範・法・市場、そして文化といった他の要素との相互影響のなかで、アーキテクチャの進化プロセスが進んでいく過程です。私たちの社会は、これからも、上に見たようなアーキテクチャと社会の諸システムとの「共進化」を目の当たりにすることになるでしょう。