季刊行政管理研究

前からちょっと気になっていた行政管理研究を購読することにした。
2007年12月号の120号では、
大山耕輔「政府への信頼低下の要因とガバナンス」
が面白い。
本稿の主旨とは直接関係ないですが、政治学行政学の考え方についてまとめられた指摘があったのでメモ。

およそ社会科学の目的は、社会における諸現象の因果関係を説明したり、現象の意味を解釈したりすることを通して、市民が幸福を得られるようにすることであるといえるだろう。たとえば政治学者なら、市民の間の権力関係を明らかにすることを通して、自由や平等といった理念の実現を図り、市民が幸福を感じるようにするのが目的だろう。行政学ならば、市民に対する行政の責任関係を明らかにすることを通して、公共の利益の実現を図り、市民が幸福を感じるようにすることが目的といえるだろう。

なお、この分には脚注がついている。

村松岐夫(2001:46)には、指導教授である長浜政寿が研究ノートに記した興味深い研究図式が紹介されている。「政治学の中心概念はPower その目標はLiberty 行政学の中心概念はResponsibility その目標はPublic Interest」

村松本の中にこのような指摘があったのは忘れてましたが、今また考えるとかなりの名言だと思うようになってきました。

ちなみに本論文では、「(政府に対する市民の)信頼=(政府の)業績/(市民の)期待」という図式で政府に対する信頼低下要因を分析している。
このテーマに関しては、本論文でも参考書として取り上げられている

幸福の政治経済学―人々の幸せを促進するものは何か

幸福の政治経済学―人々の幸せを促進するものは何か

この本が個人的には印象深く残っている。