論文メモ

パブリック・コミュニケーション(PCM)〜日本の現状と今後の課題〜」(ESRI Discussion Paper Series No.188)

( 要旨 )

今日,先進諸国においては,国民の欲求や価値観は急速に多様化し,政策の作成や実施段階での政府と国民との双方向性コミュニケーションや国民相互のコミュニケーションの促進が,政策の有効性を確保するために重要となる一方,IT技術の急速な進展により,スピニング(情報操作)やデジタル・ディバイド等の危険を増大している。
本研究は,上記のような状況認識に立ち,個別の政策形成活動や日常的な業務運営の中での情報提供,意見収集活動も対象とし,日本における広報広聴活動の実態の分析・整理を基礎に,有効性および正統性を兼ね備えたパブリック・コミュニケーションのあり方を探ることを目的とした。
第1部において,日本におけるPCMの現状について,類型A(安全・安心,環境,防災といった行政活動における日常的なコミュニケーション),類型B (日常的コミュニケーションであるが,国際的な異文化コミュニケーション及び組織間コミュニケーションを伴うもの),類型C(国家的政策課題に関する政策の形成過程の一段階を構成するコミュニケーション)及び専門的にパブリック・コミュニケーションを担っている制度的仕組みとその運用(内閣広報,政府広報)に,類型分けし,それぞれについて事実関係の整理及び分析を行った。
その上で,第2部において,海外(アメリカ合衆国,イギリス)における動向を参照し,その含意について検討した。
そして,「おわり」において,上記の現状分析等を踏まえ,今後のPCMのあり方について若干の提言を試みた。