自民結党50年

自民結党50年 追われた2人は」(中日)
亀井静香

 ――それでも小泉内閣の支持率は高い。

 国民がアホなんだよ。思い上がっていると言われるかもしれないが、あえて言わせてもらう。大人たちの60%が、権力者が目的を達するためには、民主主義のルールを破っても、何をやってもいいということを支持しているとすれば、日本もおしまいだ。

 しかし、こんなに萎(な)えた、批判精神のない、強者に巻かれていけばいいという国民は、小泉さんがつくったんじゃない。国民が小泉首相を生んだんですよ。残念ながら、そんな国民になってきたことには、結党五十年の自民党に責任がある。私にも責任がある。

平沼赳夫

 ――小泉内閣の発足当初は、経産相だった。

 そのころの小泉さんは、今より割合フレキシビリティー(柔軟性)があり、独裁的ではなかった。例えば、彼は内閣発足時に補正予算を組まないと言っていた。私が「財政再建と経済活性化という車の両輪を回さないと、いつまでたっても堂々巡りになりますよ」と主張したら、彼は結果的に三回補正予算を組んだ。

 小泉さんは今度の衆院選直前から変質を遂げ、より独裁的、強権的になってきた。党内議論、手続きを省き、郵政法案を通すために、ありとあらゆる威嚇、恫喝(どうかつ)、懐柔をやった。日本は代議制で、すべての政策を国民投票にかけるわけにはいかない。だから参院で法案が否決されたことは、もっと重く受け止めなければいけないのに、強引に衆院を解散した。そして反対を唱えた者には「刺客」を送り、抹殺しようとした。

 ――その手法が支持され、自民党は圧勝した。内閣支持率も上がっている。

 私の選挙区では、まだ刺客の名前も分からない段階で、その人に入れようと決めてしまっている層がすごくいた。誰でもよかったわけですよ。平沼は今まで支持していたけど、小泉に歯向かっていると。小泉マジック流集団催眠で、一種のマインドコントロール状態だったのではないか。小泉さんは天才的にビジュアルなマスメディアの使い方に長(た)けている。支持率が伸びているのもそこだと思う。