犯罪被害者の実名発表

安易な匿名発表へ流れ 事件・事故 報道側検証 困難に」(東京)
犯罪被害者 実名の公表が原則だ」(中国)
犯罪被害者:実名発表、警察判断で 「匿名社会」に懸念も−−計画案盛り込み決定」(毎日)

「被害者の実名は広く国民生活にかかわる情報で、一行政機関の判断に委ねるのは問題だ。匿名社会につながることが懸念される」「取材の自由は民主主義の根幹であり、実名発表を原則とすべきだ」と、同項目の削除や修正を求める意見も出た。しかし「被害者が同意した時だけ実名発表すべきだ」「これまで警察が発表してきたことと変わらない」などの意見が大勢を占め、項目はほぼ原案通り了承された。

 検討会の決定は、警察による被害者の匿名発表がなし崩し的に増えている現状に「お墨付き」を与えるだけでなく、さらに拍車をかける可能性がある。警察発表のあり方が初めて政府の閣議決定で方向づけられることになるためだ。

 25日の検討会の議論でも「実名・匿名の判断はこれまでも警察がやってきたことだ」との意見があった。確かに警察側は「発表することの公益と、個人のプライバシーや捜査上の支障などの不利益を比較して各都道府県警が実名・匿名を判断している」との見解を表明している。しかし、取材現場では報道側が日常的に実名発表を警察側に要請している。取材・報道は事実に基づかなければならず、その根幹が実名だからだ。