ソーシャル・キャピタル

大学院のとある講義でこの言葉が取り上げられた。
実はこの単語は大学院入試の試験でも取り上げられ、この言葉を中心に面接でも議論が行われた。
ここ最近かなりの流行り言葉になっているようである。
僕は学部時代にネットワーク関連の研究を少しかじっていたので知っていたのだが、
今ではいわゆる公共政策というものに携わる人にとっては知らなくてはならない単語になっているのではなかろうか。
ソーシャル・キャピタルの詳しい説明に関しては「なぜ今ソーシャル・キャピタルなのか」を読んでもらうと分かると思う。
ここで述べられているが、この言葉を提唱したパットナムは以下のように説明している。

パットナムはソーシャル・キャピタルとは「人々の協調行動を活発にすることによって社会の効率性を改善できる、信頼、規範、ネットワークといった社会組織の特徴」と定義している。そして「ソーシャル・キャピタル」が豊かなら、人々は互いに信用し自発的に協力する、すなわち「集合行為のジレンマ」の最善な解決策、そして民主主義を機能させる鍵として提示したのである。
このソーシャル・キャピタルという言葉が特にどこで多用されているかと言うと、国際開発について論じるときだ。
例えばJICAは報告書にソーシャル・キャピタルという単語を使っている(「ソーシャル・キャピタルと国際協力−持続する成果を目指して−」)し、
また、「国際協力とソーシャル・キャピタル──活発化するNGOアプローチの中で」というコラムもある。また、世界銀行では「Social Capital for Development」という一つの特集を組んで説明しているし、この分野においてはもはや欠かせないキーワードの一つとなっている。

それらの意見を言ってしまえば、今後の途上国における支援に際し重要なことは、その国のソーシャルキャピタルをまずは整えることだ、ということらしい。支援するにせよその国の地域社会が混乱した状態、あるいは信頼関係が築けていない状況のところに支援しても、効果は薄いということだ。また、政治的に独裁であるとかで国民と国とのあいだの信頼関係が築けていない状態もソーシャルキャピタルの欠如だといえる。
ようはこれまでの国際開発支援や国際協力の分野でうまくいかなかった原因の根本にソーシャルキャピタルの欠如があると言っているようだ。したがって、現在では多くの国際機関がどうやってソーシャルキャピタルをあげていけばよいのか、に関して研究しているが、そもそもソーシャルキャピタルが「信頼」「規範」「ネットワーク」などの数値化しにくい概念によって定義化されているため、人によってその取り方は様々で、まだ解決策に関する明瞭な提言や研究はないようだ。「ネットワーク」に関してはSNSを含めかなりブームになってきているので研究は進んでいるようで、どうやらネットワークからソーシャルキャピタルに関する何らかの提言がこれから出てきそうな予感はする(おそらくすでにあると思うが、僕個人はまだ見たことはない)。

*ネットでソーシャルキャピタルについて調べていたら、「地域の経済成長とソーシャルキャピタル」という論文を見つけた。まだ詳しく読んでいませんが、なかなか面白ろそう。