閉じこもるインターネット〜グーグル・パーソナライズ・民主主義

閉じこもるインターネット――グーグル・パーソナライズ・民主主義

閉じこもるインターネット――グーグル・パーソナライズ・民主主義

Google, Facebookなどをはじめとして、フィルタリング技術がウェブ上のさまざまなところで組み込まれてしまったことで、フィルタリングによるフィルターバブルに包まれてしまい、それ以外の情報に気づかずに過ごしてしまうようになった。

インターネットは自らのアイデンティティを育て、様々なことをトライするチャンスを提供してくれるというのに、パーソナライゼーションという経済性の追求は個性を不変なものにしようとする。インターネットによって知識やコントロールが分散する可能性があるというのに、実際には、我々が何を見てどういうチャンスを手にできるのかといった選択がかってないほど少数の人の手に集中しつつある。(p.267)

このような指摘自体は特段目新しいものではなく、これまでも様々な人が指摘している。
本書のp.24でも参照されているが、2000年に法学者のキャス・サンスティーンも同様の警告書を記している(日本語訳は2003年出版)。

インターネットは民主主義の敵か

インターネットは民主主義の敵か

著者自身は、とは言いつつもインターネットが消えるわけではないので、個人や企業が「何を目的とするのか」というビジョンを明確に持つことが重要だと指摘する。そして、具体的に個人や企業が何ができるのかというところまで踏み込んで検討している点が、単なる問題点の指摘だけに留まっていない点で、具体的に考えるきっかけとなる。その1つは、フェイスブックは使うな、ということなのだろうか。