「20円」で世界をつなぐ仕事

はじめに 社会起業家という仕事

  • 「就職先」としての社会事業
  • テーブル・フォー・ツーって?
  • 「ワクワクしながら働く」ということ

第1章 TFTのビジネスモデルと苦難の創業期

  • テーブル・フォー・ツーの誕生と出会い
  • フレームワークで「しくみ」を考える
  • 「勝てるところ」を探して一番になる
  • 電話・印鑑・口座…ないない尽くしのスタート
  • 何もないけど、営業からはじめよう
  • 「怪しい団体?」目線との戦い
  • NPO認証と活動戦略の練り直し
  • 他者の「色」がつかないよう細心の注意

第2章 世界最高峰のコンサル会社からNPOへの転身

  • 戦略コンサルタント時代に学んだ究極の問題解決法
  • 僕が自分の「想い」を見付けるまで

第3章 社会起業にビジネススキルをいかす

  • Purpose[目的・達成目標]〜何のための事業なのか、徹底的に考え抜く
  • Partnering[提携]〜相手を見極め、長く続くよい関係を築く
  • People[組織・人事]〜適切な評価と報酬、そして採用の考え方
  • Promotion[宣伝・広報]〜オンリーワンの存在として認知してもらうには
  • Profit[利益・成果]〜収益を上げ続け、最適な投資をする

終 章 「しくみ」と「想い」が大きなつながりをつくる
おわりに 想いはきっと社会を変える

  • 小さなしくみで革命を起こす

最近食堂でTFTメニューが提供されていたため、内容については知っていたものの、それがどのような人によってどのような形で企画・立案されているのか分からなかった。本書の著者である小暮氏はそのTFTの事務局長でもあるので、どのような背景でTFTが動いているのか興味を持って手にとってみた。
ただまだTFT自体ようやく認知されてきた段階ということもあり、本書では具体的なビジネスモデルというよりも方向性やTFTにかける小暮氏の想いを主張がむしろメインテーマなのだと思う。

これまで、「仕事というのは辛いものであり、意に染まないこともやらなければならない」とされてきました。小さい頃いだいていた夢や希望も会社に入ったら再度、自分の中に閉じ込めなければならない、多くの人がそう思って働いてきたのではないでしょうか。
でも、それは本当でしょうか?小さい頃の夢や希望は、その人の一生を方向づける「想い」の根幹をなすものであるはずです。この想いを素直に生かせる仕事こそ、その人にとっての天職であるはずです。
僕自身、いくつかの仕事お色々な悩みを経て、TFTの仕事に出会いました。そして今、想いをいかにして働くことがいかに自分にとって自然で楽しいことか、それを心から味わっています。
(中略)
今はまだ微力ですが、日本ではじまったTFTがやがて各国に広がり、一大ムーブメントを引き起こす。そして世界中の人達がTFTに参加したとき、この地球上から貧困が消える。
そのときのことを想像すると、僕は胸の高まりを抑えることができず、思わず叫びだしたい気持ちにすらなります。日々こんな気持ちで望める仕事が他にあるなら、教えて欲しいくらいです。(p.16-17)

「はじめに」で書かれているこのメッセージが基本的に本書のメインメッセージであり、小暮氏の「想い」を仕事にできたことの喜びがダイレクトに伝わってきて、仕事にフラストレーションを抱えている多くの社会人にとっては何か突き動かされるものがでてくるのではないか。

同様のメッセージについて書かれた本として、

マイクロソフトでは出会えなかった天職 僕はこうして社会起業家になった

マイクロソフトでは出会えなかった天職 僕はこうして社会起業家になった

があるが、まず自分の経験に基づく直感的な「想い」があって、それを自分の中で熟成しているというプロセスが共通して一定期間あるようだ。その過程でとある「きっかけ」をもとに社会起業家として転身しているが、この偶然にもちかい「きっかけ」をちゃんと掴み取れるか、逃さないようにできるかが分かれ目なのだろう。それを逃さないようきちんと自分の「想い」も熟成させておかなければならない。