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これを読んでから、以下の本を読む。
大平正芳―「戦後保守」とは何か (中公新書)

大平正芳―「戦後保守」とは何か (中公新書)

1937年、大平が横浜税務署長(当時27歳)のときの挨拶

行政には、楕円形のように二つの中心があって、その二つの中心が均衡を保ちつつ緊張した関係にある場合に、その行政は立派な行政と言える。(中略)税務の仕事もそうであって、一方の中心は課税高権であり、他の中心は納税者である。権力万能の課税も納税者に妥協しがちな課税もともにいけないので、いずれにも傾かない中世の立場を貫くことが条理にかなった課税のやり方である。

大平には物事を考えるとき、互いにそう反する二つの中心を対峙させ、両者が作り出す近郊の中に調和を見つけようとする態度が修正一貫して見られる。課税者と納税者、すなわち治者と被治者との関係において、いずれにも偏することのない「中正」の立場を説いた。それはのちに「楕円の哲学」と呼ばれる大平の人生哲学・政治哲学の最初の吐露であった。この思索と行動の体系はまた、一面で機の熟するまで待つ、「待ちの政治」という彼の政治スタイルを生み出していく。(p.34-35)

戦前からキャリアを積んできている政治家の生き様は各人大変魅力的な一面がありますね。また「小説吉田学校」を読み直したくなりますな。