今年の10冊
年末恒例の「今年の10冊」です。今年は例年に比べると多少読書量が減ったかもしれませんが、その減ったのはいわゆるアカデミックな本なので、その分新書や小説等は読んだかと思います。今回は、政治、経済、その他、小説の4つに分けて、それぞれ2,3冊づつチョイスする形式にしました。あんまり意図はないのですが・・・。では以下が私の今年の10冊です。
- 政治
政治系からは下記2冊。「今年の10冊」ではアカデミック本はマニアックすぎるので選ばないようにしているのですが、もしかしたら宮本本は多少アカデミックなものの部類に入るかもしれません。ただ本書はこれまでの日本の福祉政治の変遷が大変簡潔かつわかりやすくまとめられていて、今日の状況を的確に分析するための貴重な入門書になっています。個人的にはこれまで読んだどの本よりもわかりやすかったです。薄い冊子みたいな本なので、福祉(雇用政策、福祉政策)全般に関心のある方には最適の本だと思いますので、興味のある方には是非読んでいただきたい一冊。
カーティス本は、外国人から見た日本政治という観点が大変興味深く、かつ非常に親しみを感じさせる文章でメッセージ性の強い本として印象に残っています。
福祉政治―日本の生活保障とデモクラシー (有斐閣Insight)
- 作者: 宮本太郎
- 出版社/メーカー: 有斐閣
- 発売日: 2008/09/08
- メディア: 単行本
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- 作者: ジェラルド・カーティス
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2008/04/17
- メディア: 単行本
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- 経済
経済系からは3冊。もっともどの本もアカデミックというよりもエッセイに近いので、すんなり読める本。特に青木本は大変刺激的で面白かった。アカデミックな分野だけではなく、実務的な領域においても最先端の挑戦をし続けている情熱が本書には満ち溢れています。話題になった学生時代の学生運動の話も含め、格好いい生きかたの一つの象徴だなぁと思いました。
堂目本はこれまたアダムスミスも新しい読み方を教えてくれたという点で個人的なヒット。個人的に関心のあったハイエクとの強い関連を本書からは読み取ることができたというのが個人的には大きかったです。
3つ目のハート本は、ロバートライシュの「暴走する資本主義」とどちらにするか迷ったのですが、著者の主張という点ではこちらの方が共感できたので、あえて本書を取り上げます。
- 作者: 青木昌彦
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2008/04
- メディア: 単行本
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アダム・スミス―『道徳感情論』と『国富論』の世界 (中公新書)
- 作者: 堂目卓生
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2008/03/01
- メディア: 新書
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未来をつくる資本主義 世界の難問をビジネスは解決できるか [DIPシリーズ]
- 作者: スチュアート・L・ハート,石原薫
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2008/03/18
- メディア: ハードカバー
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- その他
その他からは、下記の3冊をチョイス。キーワードは「アーキテクチャ」です。「となりの車線〜」はDan氏が「間違いなく、この12ヶ月に読んだ中で最も面白く、かつ考えさせられた一冊だ。」と書かれているとおり、間違いなく面白い本。ほとんど意識せずに行っている運転のまわりには、様々な法的制度の中で道路等の環境が設計され、運転者はその中で膨大な情報を瞬時に判断している。その交通というアーキテクチャについて様々な観点からユーモアを交えて書かれていて、飽きることなく読み通すことができます。
そして2冊目の濱野本ではそのアーキテクチャという概念そのものについての検討を踏まえ、ネット社会におけるアーキテクチャについて論じています。本書についても新しい「アーキテクチャ」概念を現在のネットの動向を踏まえて学ぶことができる最適な本として今後も重宝されることと思います。
3冊目は人間そのものの中に内在しているタンパク質のアーキテクチャについて書かれた一般向けに書かれた本。まさに人間の神秘的な仕組みがタンパク質には隠されていて、多少難しい専門用語が連発されているとはいえ、その奥深さに魅せられます。
これら3冊に書かれているものを、「アーキテクチャ」という視点から改めて読み直してみるとまた別の面白さを読み取ることができるのではないでしょうか。
- 作者: トムヴァンダービルト,酒井泰介
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2008/10/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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- 作者: 濱野智史
- 出版社/メーカー: NTT出版
- 発売日: 2008/10/27
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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- 作者: 永田和宏
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2008/06/20
- メディア: 新書
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- 小説
最後に小説を2作品だけ取り上げます。もっともこの2作品は巷の小説ランキングでも出てくるほど売れているので、私がいまさらどうこう書く必要もないでしょうが、それでも面白かったのであえて今年の10冊として取り上げました。まさに徹夜本の2冊でした!
特に「新世界から」の世界観とストーリーの展開の仕方には圧倒されっぱなしでした。
- 作者: 貴志祐介
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/01/24
- メディア: 単行本
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- 作者: 池上永一
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2008/08/28
- メディア: 単行本
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[参考]