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タンパク質の一生―生命活動の舞台裏 (岩波新書)

タンパク質の一生―生命活動の舞台裏 (岩波新書)

第6章「タンパク質の品質管理」が面白い。
人間社会での品質管理では、たとえば不良品が見つかった場合、

  1. 製造中止にして原因を究明する
  2. 直せるものはできるかぎり修理して、正常な機能と構造に戻してから出荷する。
  3. それでも直らない場合は廃棄処分
  4. その後も不良品を作り続けた場合は工場閉鎖

が基本的な品質管理のプロセスであるが、これと同じプロセスが人間の細胞内でも実現されている。

生産現場での品質管理は、人間の脳が考え出した方法であるが、細胞の内部でも、これに比肩できるようなタンパク質品質管理機構の発達を見ることは感動的でさえある。進化という生存戦略が、時間のうちに秘めた潜在的な適応能力の凄さを見せつけられる思いがする。(p.180)

著者自身も何度も述べているように、細胞の世界における出来事に、人間社会の合目的性をあてはめて解釈することには慎重であるべきである。それを前提においた上で、細胞におけるタンパク質品質管理機構は、驚くべき巧緻な機構、システムが発達しており、その中で生命現象は営まれていることに著書は本研究分野の醍醐味を語る。

朝日新聞著者に会いたい」にて本書が取り上げられていた。

 近年、そうした分野の研究は生命科学の主戦場の一つだ。「いま、細胞生物学が一番面白いですよ」と目を輝かすゆえんである。

 たんぱく質の誕生から死、そして輪廻(りんね)転生までわかりやすく人間の一生になぞらえて書き進めるが、「人間界のたとえを安易に持ち込んではいけない。自然界の合理性は私たちの理解を超えたところにあるかもしれないから」と、自戒もする。


仕事力

仕事力

目次

大前 研一 〜仕事を生き抜く力
朝倉 摂 〜仕事には、精神を絞り込む
安藤 忠雄 〜感動のない仕事に成功はない
福原 義春 〜文化は仕事の燃料である
梅原 猛 〜仕事は日本人の生きる歓び
鈴木 敏文 〜仕事は毎日が瀬戸際である
佐々木 毅 〜自分を耕す仕事をせよ
塚本 能交 〜人に寄り添う仕事を問う
稲盛 和夫 〜すべての仕事は人を磨く
今野 由梨 〜人は必ず自分の仕事に巡り合う
村上 隆 〜価値を伝える技はあるか
松井 道夫 〜固定観念から自由でありたい
柳井 正 〜自分の行き着く所まで行け
林 文子 〜裸で向き合う、その勇気で進め
中村 勘三郎 〜おさまってたまるか

現在もこちらで連載中。