比較政治制度論

比較政治制度論 (有斐閣アルマ)

比較政治制度論 (有斐閣アルマ)

まさに制度論を学ぶための最適な日本語書籍。

国により,政治的安定や腐敗などの政治的帰結,経済成長や財政赤字などの経済的帰結に,なぜ違いが生じるのか。制度を変えることで,何が変わるのだろうか。政治的・経済的帰結の違いを政治制度によって説明する新制度論の諸議論を整理し,紹介する。

〈目 次〉
 はじめに
第1章 比較政治学とは何か
第2章 制度論
第3章 選挙制度
第4章 執政制度
第5章 政党制度
第6章 議会制度
第7章 官僚制
第8章 司法制度
第9章 中央銀行制度
第10章 中央・地方関係制度
あとがき

本書で用いられる新制度論は以下のように説明されています。

旧制度論はいわば法律学的な研究に近いものであり、そこでは制度の静能的な記述や紹介が中心であった。これに対して新制度論においては、制度はあくまでも社会科学的な分析、とくに因果推論的(説明)の中に取り込まれた。またその際、制度は二通りに位置づけられた。まず制度は独立変数あるいは媒介変数としてとらえられた。すなわち、制度はアクターの行動を規定することを通じて、政治的結果をもたらす要因として注目されたのである。他方で、制度は従属変数としてとらえられた。制度は他のさまざまな要因の帰結として、あるいはアクターによる何らかの政治的ゲーム(争い)の結果として説明されることになった。すなわち、なぜ特定の制度が存在するのかが分析されることになったのである。(p.37-38)

あとがきによると、本書を執筆する際に念頭においていたのは、レイプハルトの業績であったとありますが、確かにレイプハルト本の入門編として使うと最適なんだと思います。

民主主義対民主主義―多数決型とコンセンサス型の36ヶ国比較研究 (ポリティカル・サイエンス・クラシックス)

民主主義対民主主義―多数決型とコンセンサス型の36ヶ国比較研究 (ポリティカル・サイエンス・クラシックス)

ちなみに、新制度論といっても上の説明にもあるようにさまざまなアプローチがあり、本書ではその中でも「合理的選択制度論」にフォーカスしている。ゲーム理論を用いた行政学研究で有名な曽我先生が書かれているので、これは当然でしょう。他のアプローチにも興味がある方は、以下の本がお勧め。少しレベルは高い(読みにくい)ですが。

新制度論

新制度論