ルービン回顧録

金曜日から夏休みを取って実家に帰ってきました。この土日は特に外出等の予定もなかったので自宅においてある昔の古いCDをMP3化したり、大学時代に購入して引越し時に実家に送り返した書籍等を読んだりしてました。
その中で今のこの時期だからかもしれませんが、下記の本を読み返してました。

ルービン回顧録

ルービン回顧録

最初に読んだときはルービンの生き方や人生観が印象に残っていたが、やはり、この時期に読むと1997年の世界経済危機の時の対応がどのように米国財務省内で進められていたのかという点が気になっていましたので、第8章〜第10章あたりを特にじっくり読みました。
たまたま「かんべえの不規則発言<9月20日>(土)」においても同じ箇所を読まれていて、おぉ、やはり同じこと考えたんだなと少しうれしくなったんですが、「ルービン長官の国際財務12か条」はやはり今だからこそ思い返すべきものなのではないでしょうか。

1.人生で唯一確かなことは、確かなものなど何もないということである。
2.市場主義経済は歓迎されるが、それですべての問題を解決できるわけではない。
3.一国の繁栄のためには、アメリカ合衆国、G7、国際金融機関の援助よりも、その国の政策の信用と質のほうが大切である。
4.効果的な政策は金で買えるものではないが、資金を渋るよりは余るほど投入するほうがよいときがある。
5.債務者は負債を負うとどうなるか、債権者は融資をするとどうなるかを心しておく必要がある。
6.アメリカ合衆国は、何を支持しているかばかりでなく、何に反対しているかによって評価されることを進んで受け入れなければならない。
7.ドルは非常に重要な通貨であるため、貿易政策の手段として用いるべきではない。
8.選択肢があることは、それだけで好ましい。
9.実現不可能なことを保証するような言い回しは、してはならない。
10.意思決定においては、小手先の細工を用いてはならない。真剣な分析と配慮にまさるものはない。
11.アメリカが国益を維持するためには、国際経済問題に関して、各国と緊密に協力して取り組むべきだ。
12.現実は理論やモデルよりもはるかに複雑である。(p.334-350)

11章で財務長官辞任後にシティグループの共同会長になられましたが、最近はルービン氏が最近何をされているのかまったく知らなかったため、調べてみたところこんなニュースが。
ルービン氏、シティグループの上級顧問に就任」(日経)
今もシティグループにいたんですねぇ。。。
あと、こちらの記事によるとオバマ候補の経済顧問も務めておられるようです。
エコナビ2008:米大統領候補、経済政策は… 両者とも伝統手法」(毎日)

ニューヨーク・タイムズ紙とCBS放送が合同で実施した最新の世論調査によると、有権者が最も重視する政策は経済政策の40%、2番目はガソリン価格・エネルギー問題の15%と1、2位を経済問題が占めた。低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)問題に伴う住宅、金融市場の混乱長期化や、エネルギー価格高騰を背景に、イラク戦争(15%)、テロ対策(9%)などの安全保障政策を上回った。

 このため、オバマ、マケインの両陣営は、経済政策をアピールしようと経済界の大物を相次いでブレーンに起用した。オバマ氏の経済顧問を務めるのは、クリントン民主党政権で好景気を演出したルービン元財務長官。マケイン氏の経済顧問は「史上最強の女性経営者」の異名をとった元ヒューレット・パッカード会長のカーリー・フィオリーナ氏だ。

 ルービン氏とフィオリーナ氏は今月上旬、米テレビ番組に出演した。ルービン氏は、原油高に対応した戻し減税などオバマ氏の経済政策の意義を強調。これに対し、フィオリーナ氏は「オバマ氏の政策は増税につながり、米経済を一層悪化させる」と攻撃した。

 ただ、両陣営とも、足元で深刻さを増している住宅市場の低迷と金融市場の混乱をどう収束させるかについては有効な処方せんを示すに至っていないのが実情。「オバマ、マケイン両氏とも経済に強いとは言えない」(米エコノミスト)とされるだけに、経済分野での政策立案能力が大統領選の鍵を握る可能性もある。

 次期米大統領のかじ取り次第で、世界経済の行方も大きく左右されるため、両陣営がどのような政策を打ち出していくかが焦点だ。