「先進国における<政策システム>の創出」シンポジウム

ちょっと前になりますが、土曜日にCOEのシンポジウムに出席してきたのでそのメモというか感想。
基本的な政策革新の理論は、以前少し書いたとおりですが、その理論に基づいて様々な分野の専門家がどのようにそれを適用させているのかという点について色々と面白い報告がなされていました。
個人的には、コメンテーターの佐々木毅山口二郎両先生と城山先生のやりとりが興味深かったです。
佐々木・山口両先生はやはり「政治(学)」というものにフォーカスされているので、本プロジェクトの行政学的な分析手法が実際の政治の中でどのように機能するのか質問されてましたし、政治学アイデンティティである「権力の正統性」がメタポリシーとどのような関係を持っているのかという点は確かに気になるところです。

城山先生のレスポンスを聞いた感じですと、これまでの行政学はいわゆる族行政学で、個別の領域(省庁や政策)にフォーカスされており、本プロジェクトはそこから横断的な視野を引き出すために政策革新という理論を考えたようです。ただし個別の領域を横断的に見る際には、その個別領域の切り分けが問題になってきて、その設定の仕方に「政治」が入り込んでくるという説明でした。
ここで城山先生が「政治」に関して言及して印象に残っているフレーズとして、「政治とは敵をつくること」という言葉があります。敵を作ってその敵を打破するための制度・組織・政策を形成する。その敵をどのように捉えるかが、フレーミングの問題として政策革新の理論の中に適用できるようではないかということをおっしゃっていました。

あと面白かったのは金井先生の中央省庁改革に関する話で、以前は政策官庁/制度官庁/調整官庁/事業官庁という4種類の官庁が存在したが、中央省庁改革によって調整官庁をなくすべく進められたが、中身は変わっていないというくだりは、なるほどという感じで印象に残っています。あと、行政学は政治の作為性を見る際に制度改革に着目し、それはすなわち官僚制に関する分析が含まれてきてしまい、この点は政治学の見方と違うという点が特徴としてあげられるのではないか、といった指摘もされていましたね。

基本的に政策革新の理論とは、ある政策が変容する際のプロセスに着目しているのですが、確かに山口先生のいう「デモクラシー」や「権力」の問題もそこには関わっているわけで、そういった概念をどのように取り入れていくのかが難しいなぁというのを個人的には感じました。

本COEプロジェクトは一応これで終わりとのことですが、是非個々の先生方には今回提示した政策革新の理論をブラッシュアップしていただきたいと思います。
個人的には関連する制度研究グループとして東京財団VCASIがありますので、こちらの動向も継続的にフォローしていきたいと思います。