今読んでいる本
- 作者: 梅田望夫
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2008/03/01
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 29人 クリック: 4,720回
- この商品を含むブログ (422件) を見る
色々なブログ等で各人が最も印象に残っているものを書き残しているので、自分も一つ取り上げておきたいと思います。
個々人が、自分の関心を持つ事柄に
影響を及ぼすことができると感じられれば、
世界をより良い場所にすることができる。
そのためには、人々が選択の自由を行使できる環境をつくる必要がある。
−ピエール・オミディア
本書でも何箇所か「世界をより良い場所に(make the world a better place)」という言葉が取り出されていますが、やはりこれを本気で実現している人による言葉なので、これを読むとやはり勇気をもらえますよね。
この言葉のあとに梅田さんは以下のような指摘をしています。
個の自由や選択肢を押し広げ、個をエンパワーする方向でテクノロジーが実現できる可能性が見えたのに、既存の権威(法律、業界慣習や秩序など)がそれを阻んでいるときは、現状に疑問を抱き、その構造を立て直したいという反骨心で、リスクを取って果敢に攻め込む。そういう考え方によって、技術者主導のイノベーションが次々に可能になるのです。(p.121)
これは自分が大学院で研究していたテーマの主旨そのものでもあるので、このような記述を見つけてかなり嬉しく思いました。自分の専攻は行政学なので、「既存の権威」がテクノロジーの出現をどのような構造のもとで阻み、そしてテクノロジーがどのようにしてその構造を変えていくのかというのを理論的に明らかにしようというものですが、色々とインタビュー等をしていくことで「リスクを取って果敢に攻め込む」ことがいかに難しいかということを実感しているだけに、それに挑戦する人というのを大変尊敬しております。
本書を読んで再度自分の立ち位置というものを考えさせられます。ITに興味がある人でもITの何に興味を持つのかは結構人それぞれで、個人的には大きく分けて3種類あるかと勝手に分類しているのですが、
- ITによって新しいものを作り出す(いわゆる技術者)
- 技術者によって作り出されたものがどのように社会や個人を変えるのか(ex.佐々木俊尚さん、梅田望夫さん←このお二方を並列に並べしまうのは若干違和感がありますが・・・)
- ITを利用したsocial hack(一部の官僚や政治家、研究者など。ブロガーだと楠さん)
自分は明らかに3点目に着目した研究をしていますが、ただ実践者ではないので、その点ではたとえば楠さんの
社会全体が技術や技術者を大切するようにできてなくて、それは中小ほどそうだから、個別のベンチャービジネスに足を突っ込んで数をこなす前に、もっと大きな社会の矛盾と向き合って、いずれ自分が新しい仕事をやりやすいような社会に変えた方が楽なんじゃないか、そういう方向で社会をhackした方がいいんじゃないか、と考えるようになりました。
「社会をhackする作法」
この発言なんか痺れるほどかっこいいと思ったりします。(今のところ「自分も言ってみたいセリフ」No.1です)
とまぁ、こんなことを書いているとやはりきちんと自分の研究テーマについてももう少し考察していかなければなと思うので、少しずつブログ上でも書いていって、自分も「世界をより良い場所に」するためにできることをしていこう、と思ったのが感想です。
自分のこれまでの生き方の振り返りと今後の進むべき道を改めて考えるよい機会となったので、本書を読むことができて良かったです(最後はありきたりの感想ですが・・・)。