人材

50年ぶりの転換点を抑えた人材マネジメント、リクルート ワークス研」(日経bp special)

――ところで今、昨今さかんに「基礎力」という言葉が使われています。リクルートワークス研究所でも研究対象になっているようですが、これは一体何でしょうか。

大久保:  「基礎力」とは、「即戦力」「専門性」のベースとなる能力です。具体的には、コミュニケーション能力(対人)や自己制御(対事故)力、問題解決力(対課題)といった能力のことを指します。日本経済の成長時代には、伝統的な日本企業はどこでも基礎力を重視した人材育成を行っていて、しかもそれが割と手厚かった。
       (中略)
 ITリーダーになるのだったら、ITマーケットや技術の問題を経験的に分かっていることと、優れた経営感覚を持っていること、そしてコミュニケーション力と交渉能力といった基礎力は必須です。その3つを備えていなければ、ITリーダーにはなれません。大切なのはCIO候補者がこの3つのスキルをどのようなプロセスで磨いてくるかということです。

 だからこそ私は、回帰の時にきていると考えます。日本で教育が最も充実していたのは明治時代と言われています。大学教授は世界一のレベルだったと。ただ当時は今と違ってエリート教育が目的で、ほかの人は放っておかれたので多少意味合いは異なりますが、当時の教育の考え方にもう一度倣ってみるという方法はあると思います。いまさらながら、「学問のすすめ」を読みなおす人もいて、改めて原点に立ち戻ってみようというのが今のムーブメントですね。

π型人間のススメ」(日経bp special)

 さて、ここに新たに「π型人間」という人材が登場する。その形の通り、専門領域という意味ではT型人間より短い2本の足を持っている。π型人間がT型人間よりもさらに有利になる特定の分野がある。それはイノベーションの分野である。
    (中略)
 世の中が複雑化・専門化するほど、二つの専門領域を持つ人材はイノベーションを起こしやすい。複眼を持つことにより、通常の人には見えない側面が見えるようになる。20代のころに営業で活躍した人材が30代になってIT企画部門に配属されるとか、前の会社で経理だった人材が新しい会社で購買を担当するようになるといったキャリアによってこういったπ型人間が誕生する。