ハイエク

ハイエクについて書かれた本を最近また読み始める。

ハイエクの政治思想―市場秩序にひそむ人間の苦境

ハイエクの政治思想―市場秩序にひそむ人間の苦境

以下序章から。

本書は、従来のハイエクの政治・社会思想研究において取り上げられてきた?自由主義擁護論としての哲学的妥当性、?自生的秩序論・文化的進化論と議会制改革論との関係という二つのテーマのうち、前者については先行研究の結論に従っているが、後者については、従来の研究とはやや異なって、「ハイエクにおいて、自生的秩序論・文化的進化論と議会制改革論とは、必ずしも互いに矛盾しない」と解釈するものである。

人間本性の市場秩序への適合性に関する立場
?強い適合説:人間は市場に適合的なので、自ずから市場は形成される
?弱い適合説:人間は不適合であるが、社会過程の中で市場に適合的な人間類型へと矯正されることは可能なため、いずれ市場は自生的に出現してくる。
?弱い不適合説:人間はかなり不適合であり、歴史的偶然によって市場が自生的に出現することは不可能ではないが、依然として不適合でありつづけるため、市場秩序維持のためには政治権力の働きが必要不可欠
?強い不適合説:人間は全く不適合であり、矯正されることもないので、強い政治権力が必要。
これらの立場の中で、ハイエクは初期の頃は?、晩年は?へ傾斜していく。

文明社会の政治原理―F・A・ハイエクの政治思想

文明社会の政治原理―F・A・ハイエクの政治思想

ハイエクの社会政治思想の核心は、文明社会を成り立たせているものは何であり、その社会をいかに維持すべきか、という問題の探求にあるといえる。そのような要請の鍵となる言葉をハイエクの著述の中に求めるとすれば、それは「自由と抑制」ということになるであろう。
ハイエクは「文明と原理とはまた同時に自由の原理である」というくらいに、自由と文明を一体化して捉えた思想家である。

これから読み始めるのですが、個人的には第4章「ハイエクの民主主義理論」、第5章「ハイエク保守主義思想」に興味がある。