辞表を胸ポケットに入れて仕事をする
ということをとある人から先日言われました。もちろん失敗時のためのものではなく、全力で仕事に取り組むためのツールとして。
結局、合う合わないという感覚的なものはあったとしても、与えられた仕事はやらなければならず、その中で全力を尽くさなければならない。
それでは、全力で仕事に取り組むとはどういうことだろうか。
その一つの要素は、責任を持って取り組むということなのでしょう。
ドラッカー氏も以下のように指摘しています。
成功の鍵は責任である。自らに責任をもたせることである。あらゆることがそこから始まる。大事なものは、地位ではなく責任である。責任ある存在になるということは、真剣に仕事に取り組むということであり、仕事にふさわしく成長する必要を認識するということである。
責任ある仕事は与えられるものではなく、自分から取り組むことであって、それができて初めて辞表というツールが役に立ってくるわけです。つまりとある人の言葉は、「責任ある仕事ができていないのに辞表を出す(会社を辞める)のはもったいない」という意味だったのですが、まぁ、確かに責任ある仕事を創り出すという経験を繰り返すことが、どんな職業であれその後の人生に大きなパワーとなるので、その機会はたとえ自分の不向きな領域であったとしても1度は体験しておくほうがよいのかもしれません。
もう1点、別の観点からドラッカー氏の以下の指摘について考えてみる。
自らの成長のために最も優先すべきは、卓越性の追求である。そこから充実と自信が生まれる。能力は仕事の質を変えるだけでなく、人間そのものを変えるがゆえに、重大な意味を持つ。
ここで気になるのは、自分の卓越性をどうやって見つけるのか。いわゆる自分自身のSWOT分析を行うことになるわけですが、結局はこれも上述の「責任」と関連してきて、卓越性を追及するためには、裏で隠れて勉強するだけではなく、表に出て責任を持って取り組むことが卓越性を生み出すのではないでしょうか。
与えられる仕事を実行するだけでなく、自分自身でどのように「責任」ある仕事を創り出し、卓越性を追及していくのか。これが若手社会人の最初の登竜門となるのでしょう。
- 作者: P・F・ドラッカー,上田惇生
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