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スーツな会社でギークを貫き通した男
- 作者: 高橋洋一
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「スーツな会社でギークになりたい人へ」
生きる世界はまったく違いますが、高橋氏の人生こそまさしくスーツな会社でギークを貫き通した方でしょう。
id:bewaadさんが政策決定・法制度策定プロセスをシステム開発に擬えているように、官庁といわゆるSI系のIT企業の制度プロセスはかなり似ています。それゆえに、高橋氏のように東大理学部数学科出のバリバリの数学オタクが東大法学部以外はほとんどいない財務省で働くというのは、id:int128のようなギーク?がSI企業で働くということと似ていて、自分がやりたいことをやり続けることが、組織の目指すべき方向とは異なる方向に行ってしまう可能性があるわけですね。もちろん、ギークの特徴は、「自分はそれでいいんだ」と思うところにあります。
私は、自分でいうのは口はばったいが、論理的な問題を解き明かすことには自信があった。数学では、頼りは自分ひとりの頭だ。解を求めるために、誰かに協力を仰ぐことはまずない。ロジカルに数式を組み立て、ロジカルに解いていくだけである。
狭い専門分野のなかで独自に行うという作業に慣れていたせいだろう。「組織で何とかしよう」という発想や、組織に媚びるという気持ちは、入省当初から全然なかった。
不遜を自覚した上で言えば、ゼネラリストの文系の人たちとは違って、理系の私には専門性がある。だから、組織に頼らずともよかったのだ。(p.41)
それが誤っていることに対してはたとえ上司に対してでも間違っているといえるわけですし、それが時にはスーツな方々から疎まれる原因にもなるわけです。
この点に関して高橋氏は鋭い指摘をしています。
時代や環境の変化によって、昔の理論が通用しなくなり、結果的に10年前、20年前の対応が間違いになるケースはよく生じる。物は言いようで、丁寧に状況の変化を説明し、相手の立場を尊重して「昔は正しかったが、今は必ずしもそうではなくなった。」といえば、上も納得し、凝り固まらずに受け入れてくれる。
上の人も、自分が昔、決めたことが古くなっていることぐらいわかっている。しかし、立場とプライドがあるので、自分からは言い出せない。本心では、困ったなと思っているはずである。金科玉条のように、間違ったものをずっと守られるのは、本人も辛い。誰かが切り出してくれないかと内心待っている。
言い方さえ気をつければいいだけのことだが、それが分かっている人でも上司に鈴をつけにいかない。なぜか。自分の主張に揺るぎない自信がないからだ。
東大法学部卒の官僚は、計数に弱い。知識や論理のほとんどは知り合いの学者から仕入れたものだ。要は聞きかじりに過ぎない。
耳学問では、A,B,Cの三人の学者が同じような意見をいっていたとして、どれが根本の理論かわからない。知ってはいても、本当に理解はしていないので、経験も知識もある上司から根拠を突っ込まれると、最後には「あの学者がそういっていたので」と答えるしかなくなる。これでは、上司は納得しない。相手の気分を害し、睨まれる種を蒔くだけだったら、止めておこうとなるのだ。
その点、計数に強い私は、自分で数式を立てて確かめられる。郵貯の金利に関する計算は、日本の学者でもほとんどやっていないほど難しく、一官僚の私がやって、簡単なものにまとめたので驚かれた。
(中略)
大蔵省(財務省)はいうまでもなく予算の総本山で、どの部局でも数字を相手に仕事をしている。なのに、東大法学部出身という法学士が牛耳っているのだから、そもそも無理がある。彼らが熱心にやっている力関係の計算は、仕事には役立たない。財務省には、数学的な素養のある理系の人間がもっといてもいいのではないか。少なくとも、もう少し多様性があってもいい。(p.51-52)
結局高橋氏の能力に目をつけたのは組織内の人ではなく、竹中平蔵です。1982年に二人は出会い(当時高橋氏は27歳)、それ以後ずっと最先端の経済の知識をお互い交換しあってきており、それが高橋氏は財務省からは地方部局へ左遷されていたにもかかわらず、小泉政権の一連の改革の根幹である経済財政諮問会議特命室のメンバーとして大活躍されることになったことに繋がっています。
高橋氏の生き方は、まさしくここで指摘されているポイントを実践しているので、その点でも大変面白く読めました。
もっとも自分の場合はまさしくスーツなわけなので、高橋氏やid:128のようなギークではないので、それはそれでまたちょっと違った道を探さなければいけないわけですが・・。
ただ、やはり自分の主張の根拠はしっかりと理論武装しておくということはいずれにせよ重要です。これは特にスーツの人にこそ求められる力ですね。
というわけで、というわけでもないですが、梅田さんのブログでも取り上げられていた、
- 作者: イアン・エアーズ,山形浩生
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